
この写真の場所は世界一有名な絵の背景になった。
イタリア トスカーナのアレッツオで第一土日に行われる骨董市にあわせてアレッツオを訪れたのは数年前のこと。骨董市の中心に出店する女主人の住む古いvillaの2階に泊まった。そこに下宿していた日本人女性の案内でトスカーナの小さな町をめぐり、この橋の見える場所で、ペコリーノチーズとパンを食べた。


villaの周りの広大な敷地には羊や七面鳥が飼育され、その同じ場所にアンティークのアイアンや農具、大理石のオブジェが無造作に詰まれ、ビニールハウスの中は農作物ではなくてアンティーク家具がところ狭しと置かれていた。ちょうど家具修復を始めたばかりだった私は簡単にばらせて持って帰れそうな椅子はないか、と物色して回った。

骨董市の前日、会場への家具の輸送用トラクターに便乗させてもらった私はなんだか自分も骨董市に参加しているようで興奮した。当日は女主人に「日本人には3倍は吹っかけるから、買いたいものがあったら言いなさい」という助言に恐れをなして、ほとんどなにも買うことはできなかった。お昼は女主人の店で、昨日一緒に作った七面鳥のローズマリー風味煮込みをいただく。去る前に彼女の店で何かを買いたい。しかしアイアンや大きな家具が中心で、買えそうなものがない。箱の中を引っかきまわして、錆錆のとんかちの頭と杯を買った。彼女はかわいい、といってとんかちを選んだ日本人を不思議そうに眺めていた。
別れの時、私は習いたてのイタリア語で Ci vediamo !と言った。また会いましょう、彼女とのこの約束を果たすため、明日からしばらくイタリアに行くことにした。
人生の第2章を始める前にゆっくりと今までの時間を見つめなおしてくるつもりだ。

▲ by mobiliantichi | 2008-03-17 23:17 | 海外旅行