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憧れの生活

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    Arezzoから各駅停車の列車に乗って、自給自足の生活を送る農家を訪れた。10人の家族がそれぞれの役割を果たしながら、先祖代々が育った古い石の家に、たくさんの動物と暮らしている。

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 Pasqua後のこの時期は羊の出産後の搾乳の最盛期で、毎日絞りたてのミルクからチーズが作られる。兄が絞ったミルクから妹が休むことなくチーズを仕込んでいく。最初にできるラビニョーロを掬った後、型に入れたチーズは水気を充分押し出してから熟成庫に入れられ、残った乳清は再度の沸騰でリコッタチーズになる。出来立てのチーズ、2日目のもの、1ヶ月前のもの、乳清、それぞれがたまらなくやさしく美味しい。
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憧れの生活_d0147727_16192669.jpg 90歳を過ぎたお爺さんはジャケット姿でウサギや鶏にえさをやりながら、28ヶ月をすごした戦時中の捕虜生活について思い出を語った。

 
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 その日の昼食、primo piattoは惜しげもなくキアナ牛のラグーがかけられた手打ちパスタ。secondo piattoでは私はキアナ牛のローストビーフよりも羊のローストとcontornoのオイルをかけて焼いただけのジャガイモの深い味が忘れられない。自家製のワインにお砂糖を入れて飲むお爺さんの真似をしようとした私は、息子に「それだけは薦めない」と止められた。
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 dolceは自家製のデザートワインにできたてのラビニョーロとリコッタチーズにここで採れた蜂蜜をかけたもの、それにあっという間に目分量で作ったイチジクのクロスタータと栗の甘くないケーキ。
 
 その土地の木材を使って、丁寧な仕事で作られた素朴なアンティーク家具に囲まれて、最高の素材の味を引き出した素朴な料理を、子供から老人まで総勢15人で食べる昼食はこの旅で最高の食事となった。憧れの生活_d0147727_17141742.jpg憧れの生活_d0147727_16132764.jpg

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憧れの生活_d0147727_16203475.jpg  一番欲しかった石作りの台所のシンクを試しに譲ってくれないか?と聞いてみたが、もちろん笑って相手にされなかった。そうこのシンクはここで使われてこそ価値がある。そういえば熊野にも祖母が鰹や鮪をさばいた石の大きなシンクがあったではないか。
 
 家族の歴史を刻んだ家の暖炉の前でまどろむ、究極の贅沢な時間。そんな憧れの生活をいつか私もおくってみたい。

by mobiliantichi | 2008-05-02 18:35 | 海外旅行  

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