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鬼門は避けて

 修復が決定し、叔母の紹介で地元の大工の亀さんに仕事を頼むことになった。大まかな図面を持って廃屋を訪れた亀さんは家の中心に方位磁石を置いてまず確かめた。
             玄関や廊下の位置は完璧だ。
それも当然のこと。何しろここは妖怪学の講義を受けた人間が建てたのである。

 しかし元々ここは病院だ。トイレは外、お風呂は無い。住まいとするためにどうしてもその2つは新しく作らなくてはいけない。それに台所も必要だ。 
             水周りは絶対鬼門を避けなくてはいけない。 d0147727_21595466.jpgd0147727_220238.jpg

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d0147727_2214468.jpg雨漏りで天井の傷みの激しかった応接間が位置的に完璧。そしてトイレは西陽があたる一番暖かい部屋になった。洗濯、脱衣も兼ねたスペースだから広さも充分だ。さらにトイレの目隠しに取り付けたタオルウオーマーが威力を発揮。傷んだ天井は玄関に移設して、天井高を下げたため、さらに暖かい部屋になった。トイレに座るとポカポカする。

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ここなら自分の書斎にしてもいいかも。風水のおかげでついつい長居する部屋が完成した。

 
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by mobiliantichi | 2008-02-21 23:26 | 古民家修復  

ショック!!

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 昨年11月に熊野に帰った時に気がついた。見事にくもの巣のようなひび割れの入った、正面玄関の灯り。あまりの事にショックで声も出ない。この笠は元々ここで使われていたもの。放置されていた年月も、危ない状態で割れずに保っていた物なのに。綺麗にして表舞台に復帰したためにこうなってしまったのか?


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 廃屋の本格的な修復を始める前に、30年間余り針金でかろうじてぶら下がっている状態の笠を注意深くはずして、ブラケットも取り外した。そちらは電気屋さんがペンキを塗ってくれ、笠は私が洗った。中には沢山の虫のかけらがあった。
 元あった場所に再度取り付けて、灯りを灯したときの感激は忘れない。


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 丸いこの手の笠は骨董市でも見かけることがあるので、きっと探せば代わりはあるだろう。でもこれとは違う。色々な人に聞いてボンドで修復。一度ブラケットから外したらばらばらになりそうな気がしたから、梯子に登ってそのままやった。高所恐怖症だというのに。そしてこれが今の状態。ひび割れはかえって目立ってしまったけれど、これで何とか崩壊は免れるそうだ。


 この家に電気が通じたその時から、きっと暗い玄関前を照らしてくれていたに違いない電燈。
病院の奥にある母屋までの道はこれが唯一の頼りの灯りだった。
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 灯りが点けば、ひび割れは消えて、昔と同じように玄関を照らしてくれる。どうぞこのままで。
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by mobiliantichi | 2008-02-12 22:42 | 古民家修復  

天窓がくれたもの

 屋根の修復の時に天窓が大きな問題となった。元々は天窓用に瓦を作ってそこに天窓をはめていたが、そういう場所は雨漏りの原因となりやすい。それにこんな形の瓦を特注したらいったいいくらかかるのか、、、。でも天窓を諦めたくはない。
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 天窓のある部屋は手術室として使われていた。ここができた当初、ここにはたぶん電気は引かれていなかったはずなので、曽祖父はこの天窓の灯りで手術を施行していたのかもしれない。
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 雨漏りで傷んだ天井は張替えて天窓の部分にはガラスの瓦を使用した。これなら普通の瓦と同じように並べられるので、雨漏りの心配が少ない。
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 今年のお正月は両親と熊野で迎えた。車のない私たちはどこに行くでもなく、庭の草むしりをして、疲れるとこの部屋で音楽を聞きながらのんびり過ごした。日照権なんて無視された都心のマンションに暮らす私には最高の贅沢に違いない。
 
 天窓のおかげでこの部屋は家族の集う一番明るい居間になった。

 しばらくはテレビは買わず、時計もつけず、ただ日向ぼっこをして過ごす部屋にしよう。

 

 
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by mobiliantichi | 2008-02-10 23:27 | 古民家修復  

廊下の思い出

 廃屋に入った師匠は真直ぐに延びる廊下が気に入り、この修復に価値を見出したらしい。
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 私にとってはこの廊下は夏休みの思い出の場所。私と兄は毎年夏休みは1ヶ月間熊野の祖父母の家に預けられた。東京育ちの私たちには熊野での生活は冒険の連続。
 
 祖父は無口な明治の男だった。ちょび髭に丸眼鏡。ふんどしでお尻には大きなこぶがあった。そして孫達の前で全く恥ずかしがることもなく、お尻をさらした。私は「おじいちゃんは昔の人間だからお尻にはしっぽが生えていたんだ」と信じていた。サルからの進化の過程である。そんな祖父の仕事場はにはきっとオバケも沢山いるに違いない。夏の夜といえばキモ試し。兄と二人で母屋から病院に通じる廊下をドキドキ歩く。その当時でさえ、廊下は歩くときゅんきゅん鳴いた。病院に入るとすぐ左手に標本棚がある。そこには大きなガラス瓶にホルマリン漬けの標本がずらり。曽祖父は産科もやっていたので胎児の標本も。とにかく左上を見ないように腰をかがめてそこを突っ切る。その先にある祖父の耳鼻科診察室には今度はグロテスクな耳の立体模型が。ここは兄の丸まった背中を見ながら駆け抜けた廊下だ。
 
今回の修復の始めにまず締め切った病院の間取りを師匠に説明した。母屋からつながる渡り廊下、その先の標本棚、廊下、祖父の診察室、その位置関係だけは鮮明に記憶していた、はずだったから自信を持って見取り図を描いた。しかし封印を解いて中に入ったら全くのでたらめだった。人の記憶は本当に当てにならない。

 ホルマリン漬けの標本は祖父が亡くなるとすぐに祖母が畑に穴を掘って全部埋めてしまった。昭和50年頃のことである。そして数日後に野良犬が標本を掘り起こし、警察沙汰になった。警察が標本をどう処理したかは誰も知らない。
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壁はペンキを塗り、床は洗剤でモップがけをした廊下には明るい照明が似合う。
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by mobiliantichi | 2008-02-06 22:27 | 古民家修復  

シロアリおそるべし

 庭木の伐採で足場が作れるようになったので、とにかくこれ以上崩壊しないように屋根の修復をすることになった。その先どうするかはまたそこで考えよう、と両親と見解が一致。家族そろって長期間の綿密な計画性のない行き当たりばったりの性格である。
瓦をはがして土を下ろすとシロアリに食い荒らされた骨組みが。寒い地方のシロアリは屋根まで這い上がることは無いそうだが、南国のシロアリおそるべし。
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屋根を軽くするために土なしでもいいように瓦は新しくして防水シートを入れる。
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瓦の色は臙脂がかった茶色。自分としてはかなり気に入っている。
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屋根から下ろした土を使って土間を作り、中には模様として瓦を埋めた。瓦は再利用するから、となるべく割らずにおろしてもらったが、今のところ畑に放置状態。
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その瓦の一部で庭に小道を作ろう、と思い立ち、まずは勝手口の前に踊り場を作る。掘ったところに瓦を立てて埋めた。出来上がりはでこぼこ。夏には雑草に覆われる。大工の亀さんは素人のでこぼこが許せないらしく、砂を底に敷き詰めて水平をとりながら瓦を並べるように、と砂をくれた。でも今更掘り返す気にもならず、これが味なんて言っている施主である。
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屋根から下ろした鬼瓦の行き先は二転三転することとなる。その話はまたいずれ、、、。
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by mobiliantichi | 2008-02-05 23:44 | 古民家修復  

巨木伐採

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もともとこの廃屋は後ろにある母屋の目隠しに、ということで解体せずに放置していたもの。だから庭木は茂り放題。落ち葉が屋根に溜まり草が生えて雨樋が詰まり、雨漏りの原因になっていたため、最初の作業は庭の巨木伐採。これから現場責任者をお願いする大工の亀さんに「家の近くの木と頭でっかちのカイヅカイブキを切ってください。百日紅は残して」とお願いした。数日後に亀さんから電話があった。「全部切ってしまってよかったんかのう?」かくして原生林のようだった庭はその時点で伐採が済んでいなかった2本の木を残して切り株の庭になった。ホントは目隠しにもう少し木が欲しいところだが、これから植えていくことにしよう。

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切り株はちょっと面白い。叔母が自宅の庭に椅子がわりにおいてみようとしたが、重過ぎて運べない。3年ほど畑に放置してある。シロアリのえさになる前になんとかしないと。だれか貰ってくれませんか?d0147727_9354430.jpgd0147727_94798.jpg

  
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by mobiliantichi | 2008-02-02 09:40 | 古民家修復  

まずは廃屋の視察から

 数年前のある日、このプロジェクトは始まった。まず修復をけしかけた(?)師匠を廃屋の視察のため熊野に招待。父からのプロジェクト阻止の使命を受けた母が私と師匠に同行した。
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 曽祖父の後を継いで耳鼻科を開業していた祖父が亡くなってから30年近く放置された廃屋。ガラスの割れた窓には板が打ち付けられ、母屋とつながっていた廊下も取り壊されていた。庭にはカイヅカイブキの巨木、桜に百日紅に背丈近くまで伸び放題の雑草。
 長靴、軍手に懐中電灯、虫除けスプレーで装備して師匠と中に潜入。あまりの惨状にさすがの師匠も驚いたようだ。中にはガラクタが散乱しており、ところどころ床も抜けている。
 でも真直ぐ伸びた廊下、高い天井、そして天窓。すべてが今どきの家には無いもの。
                やるっきゃない             
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 後で師匠から聞いた話によると、母は師匠に「なんとかこの無謀なプロジェクトを諦めさせて欲しい」と言っていたそうだ。もちろん師匠がそんなことを私に言うはずもなく、とんとん拍子に計画が進むこととなった。
 
 
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by mobiliantichi | 2008-01-19 22:10 | 古民家修復  

Piacere

Piacere

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 紀伊半島先端の熊野の2008年の初日の出。7時に雲の合間から顔を出した。昨年は太鼓の伴奏があったが、今年の日の出は静かだ。今年は変化の1年になる。


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 初日の出に照らされた家。これがこのブログの主役だ。


 ちょっとくたびれた人間がかなりくたびれた家の修復を始めた。

 いろんなことが起こり、それなりに対処した。

 誰かに見てもらいたくなった。だからブログを始めた。

 ちょっと覗いてみて下さい。
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by mobiliantichi | 2008-01-01 07:15 | 古民家修復