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旅行記その2 「砂漠も好きかも」 

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昨年6月にはモロッコに行った。とにかくとってもとっても遠かった。エミレーツ航空で羽田から関空へそしてドバイで乗り換えてカサブランカへ。日本は日が昇る国、モロッコは日が沈む国。


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マラケッシュのリヤドに泊まり、3時間のドライブの末にたどり着いた世界遺産の町アイト ベン ハッドゥは干からびていた。そこは沢山のハリウッド映画で使われる砂漠の街、そして驚くべきことに今でも住んでいる人がいる。街の前は雨季には河になるそうだが、川底の石ころは完全に乾いている。


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 コウノトリは全く元気だ。現地のガイドの案内で水のない河を渡り、街へ。そして街の上の丘の頂上を目指す。ガイドは途中で、「後はがんばってねえ」と日本人を送り出して休憩。私だって断念したかった。


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 そしてやっとのことで登った頂上からの景色は、、、。予想通りの砂漠だった。ここに置いてかれたらあっっと言う間に干物になる、、。


 帰り道の土産物屋ではなんだか怪しげなものが並んでいる。半分熱射病の状態では品定めも不可能。とにかく日影に寝転ぶ。暑過ぎて息が肺まで入っていかない。砂漠ツアーに参加しなくて良かった。
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 帰りのドライブで電気の話が出る。「モロッコの電気は水力発電が多い」「どこに河がある?」「河は途中に沢山流れていたではないか」 私にはほとんど木もない土の山にしか見えなかった。出国のためのビザを滅多に手にすることのできない彼らに、日本の緑を見て貰いたいと思った。
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by mobiliantichi | 2008-02-29 23:44 | 海外旅行  

超高級椅子

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 はじめて修復した椅子である。修復講座を一緒に受講した友人と実習教材を探して、師匠の友人のM氏のお店に行き購入した。M氏は私がこれを修復実習に選んだところ、その場で師匠に電話して何やらグヂャグヂャ言っていた。そこで気付けばよかった。
 修復はまず全てをバラバラにするところから始まる。接合部の近くをショックハンマーで叩くと、少しずつ抜けてくるはずがビクともしない。もしかして私は非力な乙女なのか?実はこの椅子は今まで何度か修復されて使い続けられていて、その修復のいずれかの時期に釘を使った簡易的は補修がされていたのだ。釘を抜いてから叩くと、面白いようにバラバラになった。

 
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 次の作業は接合部に残った膠を除去すること。師匠お勧めのスチーマーで融かしていたら、ボキッ!折れた。師匠の顔は心なしかにやついて嬉しそうだ。「やってしまいましたねえ」 実習は規定時間内に終了しないと追加料金が発生する。師匠の微笑みの理由はこれか。この椅子はマホガニー製だそうで継ぎ足した材にも貴重なマホガニーを使わせていただいた。ノミやカッターで削ったがこれがとっても硬い。やっぱり私は非力な乙女に違いない。


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 座面の布は破けていたため新しい布に張替えた。中には馬の毛が入っていたので洗って、干して綿を足して布を張る。この座面張りの作業も山ほどの釘を抜いて山ほどの釘を打ち込んだ。「下手に打つと座った時にお尻に釘が刺さりますよ」「えっ!!」さすがにこれは冗談だった。どうも師匠に遊ばれている。


 実習の最終日には中学生のお嬢さんを連れた友人が激励に駆けつけてくれたので、スリムなお嬢さんにこの椅子に初めて座ってもらった。大丈夫だ。そしてそのすぐ後、大きな師匠がどっかと腰を下ろした。その瞬間たぶん声に出して「あっ!」と叫んでしまったに違いない。師匠は笑って、全然問題ないと言うような顔をした。 
 結局、修復実習は計算出来ないほど時間超過をしたので、師匠のお店で家具を購入して追加料金を少しおまけしてもらった。
 そう修復作品第1号の椅子は、時間も体力もお金も注ぎ込んだ超バブリーな椅子なのだ。
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by mobiliantichi | 2008-02-27 22:05 | アンティーク  

発掘品その2 「外科医典」

 発掘品その2は明治35年の医学書だ。医学書といってもポケットブック的な小さなもの。曽祖父は最初の診療所で、すでにこの本を使っていたらしく、所々に鉛筆で線が引かれている。
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時代を感じるのはその構成。まずは外科の歴史。これは太古、中世、近世、それに日本に分かれる。その次になんと300ページを占めるのは包帯学。包帯の作り方から色々な場所のいろいろな状況に応じた包帯の締め方が絵つきで解説されている。その次は麻酔法。そして申し訳程度にレントゲン氏X線検査法と続く。簡単なる外科的小技の次は按摩法。その次は創内異物探求法及び除去法でこれは皮下に触知する銃丸摘出法と深部に存在する銃丸摘出法に分かれる。植皮術、骨折及び脱臼の整復並びに後療法、注射器の種類及び注射法。
 芥子泥発泡膏貼用法ってなんだ?


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組織接合法では色々な種類の糸が紹介されている。まずは絹糸。これは判る。
次は腸線?猫の腸が使われていたが、近年では羊も出てきた?
そして腱線?鯨腱に鹿、馬。
麻糸および綿糸。これがなんで腸や腱の後なんだ?
 金属に馬毛。そして最後は海草類。さすがに海草は歴史において使われたという記述があるだけらしい。よかったよかった。ぬるぬるした天草やわかめで糸を作るのは大変そうである。


挿絵では今でも使われていそうな器具から、これは拷問器具だろう、と思うようなものまで。今回はさっとみただけだが、読破すると面白いかも。
曽祖父は妖怪学だけではなくて、医学もちゃんと勉強していたと知って、ほっとした。
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by mobiliantichi | 2008-02-25 22:19 | アンティーク  

鬼門は避けて

 修復が決定し、叔母の紹介で地元の大工の亀さんに仕事を頼むことになった。大まかな図面を持って廃屋を訪れた亀さんは家の中心に方位磁石を置いてまず確かめた。
             玄関や廊下の位置は完璧だ。
それも当然のこと。何しろここは妖怪学の講義を受けた人間が建てたのである。

 しかし元々ここは病院だ。トイレは外、お風呂は無い。住まいとするためにどうしてもその2つは新しく作らなくてはいけない。それに台所も必要だ。 
             水周りは絶対鬼門を避けなくてはいけない。 d0147727_21595466.jpgd0147727_220238.jpg

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d0147727_2214468.jpg雨漏りで天井の傷みの激しかった応接間が位置的に完璧。そしてトイレは西陽があたる一番暖かい部屋になった。洗濯、脱衣も兼ねたスペースだから広さも充分だ。さらにトイレの目隠しに取り付けたタオルウオーマーが威力を発揮。傷んだ天井は玄関に移設して、天井高を下げたため、さらに暖かい部屋になった。トイレに座るとポカポカする。

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ここなら自分の書斎にしてもいいかも。風水のおかげでついつい長居する部屋が完成した。

 
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by mobiliantichi | 2008-02-21 23:26 | 古民家修復  

ステンドグラスの影

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 東京の古いマンションのリフォーム
を始めた時、家具店や雑貨店を巡り、色々な雑誌や洋書をあさった。珪藻土、無垢板、石、タイル。それに似合う光は?温かくて自然で柔らかい光。その時アンティークのステンドグラスに出会った。ステンドグラスは本当は自分でもやってみたい、とずっと思っていたもの。そしてオーダーするととっても高価。でもアンティークだったら何とか買える。いわゆる中古の値段。そして結局3つのお店で3種類のステンドグラスを購入した。


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 色ガラスを透ってくる光が好きだ。形も色も変えられた光はなぜだか自然で美しい。

 南仏の山の上の小さな村の小さな白いマティスの教会で見た青と黄のステンドグラス。
 トスカーナの小さな村の小さな石造りの教会の窓にはまった小さなステンドグラス。

 私の思い出に残ったのは細かい装飾の施された宗教的なステンドグラスではなく、単純な形のステンドグラスを通った光が投影された壁の方だった。


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 この20年間、キセノン光源からでた光を干渉フィルターを使って単色光にしていた。特に430nmの青と700nmの暗い赤はいろいろな思い出の詰まった身近な色光である。 そして仕事場を整理したとき、いらなくなった干渉フィルターは持ち帰った。いつかそれで思い出の影を自宅の壁に投影してみたい。


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by mobiliantichi | 2008-02-14 23:54 | インテリア  

Non ho gusti estetici

  No ho gusti estetici. 美的センスがない。
 高校の美術の授業で抽象画を描け、と言われて、海に泳ぐ魚の骸骨を描いたら、「幼稚園児レベル」と言われ、大学で付き合いで美術部に入って裸婦デッサンをしていたら、顧問の画家の先生に一言「狂っている」と言われてすぐ退部。 
  大江戸骨董市で出会ったパリ在住のR氏。ブログで買い付けた品々を紹介されているのだが、その写真と解説がすごい。あこがれてしまう。恵比寿にお店を開かれたので、何度か通って1枚のお皿を手に入れた。R氏のブログをお手本にしてちょっとがんばって写真を撮ってみる。d0147727_22152877.jpg
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 松ぼっくりを入れてみる。 なんだかてんこ盛り。そんな時、甲府の出張で小さな葡萄の蔓をいただいた。
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 なんだか葡萄が主役になっているけど器のあたたかさ少しは伝わっていないだろうか。
うーん今一つ。こういうときは接写に頼ってみる。


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 だいたい今でもカメラとかデジカメとかじゃなくて写真機とつい言ってしまうレベルである。ブログに写真を載せるのはとっても大変。大仕事になる。

 それまであまり興味が無かったアンティークの食器。銀器も、古伊万里も、スージークーパーも装飾過多に感じた。でもこのお皿、もしかしたらこれからちょっとはまってしまうかも。そんな気がしておそろしい。
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by mobiliantichi | 2008-02-13 23:47 | アンティーク  

ショック!!

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 昨年11月に熊野に帰った時に気がついた。見事にくもの巣のようなひび割れの入った、正面玄関の灯り。あまりの事にショックで声も出ない。この笠は元々ここで使われていたもの。放置されていた年月も、危ない状態で割れずに保っていた物なのに。綺麗にして表舞台に復帰したためにこうなってしまったのか?


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 廃屋の本格的な修復を始める前に、30年間余り針金でかろうじてぶら下がっている状態の笠を注意深くはずして、ブラケットも取り外した。そちらは電気屋さんがペンキを塗ってくれ、笠は私が洗った。中には沢山の虫のかけらがあった。
 元あった場所に再度取り付けて、灯りを灯したときの感激は忘れない。


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 丸いこの手の笠は骨董市でも見かけることがあるので、きっと探せば代わりはあるだろう。でもこれとは違う。色々な人に聞いてボンドで修復。一度ブラケットから外したらばらばらになりそうな気がしたから、梯子に登ってそのままやった。高所恐怖症だというのに。そしてこれが今の状態。ひび割れはかえって目立ってしまったけれど、これで何とか崩壊は免れるそうだ。


 この家に電気が通じたその時から、きっと暗い玄関前を照らしてくれていたに違いない電燈。
病院の奥にある母屋までの道はこれが唯一の頼りの灯りだった。
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 灯りが点けば、ひび割れは消えて、昔と同じように玄関を照らしてくれる。どうぞこのままで。
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by mobiliantichi | 2008-02-12 22:42 | 古民家修復  

旅行記その1 「海が好き」 

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昨年10月スロヴェニアを訪れた。イタリアのトリエステから入ったスロベニアの街はポルトロッシュ。アドリア海に面したこれからリゾート化されそうな街。泊まったホテルでは古い教会の廃墟の下にカジノを建設中だった。なんでここにカジノが必要なんだ?なんだかむなしい。


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歩いて15分の隣町ピラン。海沿いにはシーフードを食べさせるイタリアンレストラン。安くて美味しいタリアテッレをいただく。海水浴客はまるでプールに入るように道端の梯子を使って海に入っていく。アドリア海には台風とか高波とか津波とかはないのかい?


山の上の要塞からの景色は圧巻だ。どんなにへたくそなカメラマンでもまずく撮りようがない。
海と空がつながっている。
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夕暮れには海沿いのベンチでただ太陽が海に沈むのをぼんやりと眺める。隣ではおばあさんが世間話をしている。至福の時。
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ピランの街に灯かりが灯る。これからこの街はどう変わっていってしまうのか。この海をこの空を残してほしい。
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 今まで何度か海外を旅してきた。その時の気分で行く場所を決めて。今思い起こすとなぜだか海辺が多い。島であったり海峡であったり。泳いだりマリンスポーツに興じるわけではなく、ただ海を眺める。そう私はやっぱり海が好き。
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by mobiliantichi | 2008-02-11 10:53 | 海外旅行  

天窓がくれたもの

 屋根の修復の時に天窓が大きな問題となった。元々は天窓用に瓦を作ってそこに天窓をはめていたが、そういう場所は雨漏りの原因となりやすい。それにこんな形の瓦を特注したらいったいいくらかかるのか、、、。でも天窓を諦めたくはない。
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 天窓のある部屋は手術室として使われていた。ここができた当初、ここにはたぶん電気は引かれていなかったはずなので、曽祖父はこの天窓の灯りで手術を施行していたのかもしれない。
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 雨漏りで傷んだ天井は張替えて天窓の部分にはガラスの瓦を使用した。これなら普通の瓦と同じように並べられるので、雨漏りの心配が少ない。
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 今年のお正月は両親と熊野で迎えた。車のない私たちはどこに行くでもなく、庭の草むしりをして、疲れるとこの部屋で音楽を聞きながらのんびり過ごした。日照権なんて無視された都心のマンションに暮らす私には最高の贅沢に違いない。
 
 天窓のおかげでこの部屋は家族の集う一番明るい居間になった。

 しばらくはテレビは買わず、時計もつけず、ただ日向ぼっこをして過ごす部屋にしよう。

 

 
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by mobiliantichi | 2008-02-10 23:27 | 古民家修復  

いただきもの その1

現在の仕事場は昨年11月に古い建物から新築に引越しをした。その時期に私がたまたま勤務していたのが運のつき。まず優しそうな事務のお兄さんにおそるおそる確認。「古い建物の機材とか捨てるものを貰ってはいけないのですか?」「固定資産の問題があります。それで、何が欲しいんですか?」「廊下のサビサビの時計とか、小さな鍵とかドアノブとか」お兄さん不思議そうな顔をした。「廊下に時計なんてありましたっけ、僕ですら気がつかないから誰もきがつきませんよ。まあそういうことです。」なんて優しいお兄さん。
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そして引越しの日。どさくさにまぎれてちょっと収穫。本当は昔ながらの木の机や木の脚のベッドがあったのだが、さすがにそこまでは断念。目立ちすぎる。この時計はサビを落としてサビ止めを塗って、ペンキを塗って、熊野の廊下に取り付けた。
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両方に文字盤がついている時計の評判は上々。思い出の廊下が学校の廊下になった。

 そして建物の解体が始まる直前まで何かないか、と電気も止まった古い仕事場に物色に通う私に対する同僚の評価は微妙に変化し、最近ではjunkな物を捨てる前にはお伺いを立てられるようになった。「あいつなら欲しがるかもしれない、、、、。」
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by mobiliantichi | 2008-02-08 19:59 | 古民家修復