祖母のすずらん
ついに見つけた。
他の草木に覆い隠されていたすずらん。
こんな暖かい地方でもちゃんと根付いていた。
祖母が植えたすずらん。
「すずらんって北海道の花だから無理だよ」
たしか私は祖母にそう言った。
祖母は「すずらんが好きなの」と答えた。
祖母が亡くなって13年。
そのさらにずっと前に植えたはずなのに。
いつも日傘をさしていた祖母は、
色白ですらっと背が高い、おしゃれな人だった。
私にとって、すずらんは優しい祖母そのもの。
母屋のほうに行くと、椿や皐月が咲き、紫陽花は新緑の葉を勢いよく伸ばしていた。
こちらの庭にも、植えた覚えのない小さな花が咲き始めていた。
昨日の嵐が嘘のような晴天の春の1日。
へたくそなウグイスや他の沢山の小鳥のさえずりを聞き、小さな花を見つめながら、天国の祖母にすずらんがちゃんと咲いたことを報告した。
by mobiliantichi | 2009-03-14 18:18 | 花と動物