青の器 その8 : やっぱり海が好き
大学入試の2次試験、会場の外にアンケート用紙があった。
高校時代のクラブと、大学で入りたいクラブを書くようになっていた。
高校時代「サッカー部」、大学でやりたいクラブ「水泳部」と書いた。
入学式が終わると、一人一人舞台の上で自己紹介をする慣習だった。
観客は在校生。同窓の新入生の名前の書かれたプラカードを持って、会場を埋め尽くす。有名高校からきた新入生、「お前はサッカー部しかない!」なんて掛声がかかる。
私はその大学にうちの高校から入った、始めての学生だった。だからだれからも勧誘はない。そしてサッカー部も水泳部も女子は取らないクラブだった。
自己紹介の最後に希望するクラブを発表する形式。私は困って、つい「ヨット部」なんて言ってしまった。そしてその後ヨット部の先輩に連れられて、青山のティールームに行った。断れずに大学はヨット部で過ごした。
およそ地味で奥手の私と、ヨット部の世なれた面々は世界が違った。それでもクラブを続けたのは、やっぱり海が好きだったから。
パリの骨董市で買ったこの器、海とヨットを思わせる。
ヨット部の新入生歓迎会で生まれて初めて、おかまバーに行った。
あまりに綺麗なおかまをジーと見つめていたら、「なにこの子、ガン飛ばしてるわよ」と言われた。
だから今でも、優しそうな綺麗なおかまはちょっと怖い。
by mobiliantichi | 2009-02-17 22:45 | アンティーク