熊野自慢 その16 「熊野石蔵美術館」
熊野市五郷町桃崎にある国指定登録有形文化財の蔵。家から30分ほどのドライブでたどり着いた石の橋を渡ってすぐ。大きな震災でもびくともしなかった明治時代に作られた石蔵。瓦を見なければ、ヨーロッパ建造物のよう。興奮してぐるっと一回り。
使われている石はこの近くの砕石場で切り出して、蔵の前で削ったらしく、今でも庭を掘ると岩の削りカスが沢山出てくるそうだ。
近づいて見ると、岩の端は輪郭をきちんと取って、中央はごつごつさせている。美しい。
鉄の扉もごつくていい。
中は1階がこの蔵からでてきた民具資料室。2階はこの美術館の館長の祖父である画家、田垣内友吉の常設展示室。ここに暮らした友吉は昭和の初めに活躍し、37歳で亡くなった。この蔵に保存されていた絵は保存状態がとてもいいそうだ。
展示品よりも建具や天井にばかり目がいってしまう。
母屋も明治の築。もともと天井がなくて、むきだしだった梁は、まさに黒光りしていた。子供の頃この家に暮らした館長は、この家は飽きることがないと言っていた。
取り外されて、外に出された窯も、味噌作りの時にはいまでも活躍するそうだ。
古い物を大切に使い続ける日本人を、熊野でまた一人見つけた。
by mobiliantichi | 2009-02-09 21:34 | 熊野自慢