大西洋の孤島のクリスマス

ポルトガルの旅は2003年のクリスマス。リスボン、ファーロと大西洋に浮かぶアゾーレス諸島を巡った。古い時代に寂れてしまった、かつては栄華を誇った国で、最も記憶に残ったのは西の果て、アゾーレス諸島だった。
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 雨のクリスマスイブ、アゾーレスで3番目に大きいテルセイラ島に降り立った。宿について、まずタクシーを頼み、市内を回る。運転手のSerafimさんは優しい人だった。
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 「Angra do Heroismo」 は大地震で一度壊滅的になったが、島民の力で復興し、世界遺産となった美しい街。
 その街を見下ろす小高い丘にたった時、「大地震で親戚はばらばらになった。家や職をなくした人はアメリカに出稼ぎに行って、帰ってこない。クリスマスだというのに」彼は寂しそうに語った。
 「イブの午後から翌日まで、ほとんどのお店は閉まって、タクシーも休みだから」と、帰りにスーパーでクリスマス伝統の料理やお菓子を探してくれた。翌日のクリスマスも雨の予報。途方にくれた旅人をかわいそうに思った彼は、「朝のミサの後なら、島を一周してもいい」という。お言葉に甘えて、翌日、雨のクリスマスのテルセイラ島を1周した。そこは敬虔なカソリック教徒の住む島。小さな島に数え切れないほどの教会があり、教会の横には小さな聖堂があった。 d0147727_2301878.jpg
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 そして、Serafimさんは一軒の民家に車を留めた。そこは彼の家。彼は私達を下ろすと母親を向かえにいった。なんと彼は、家族のクリスマスの食卓に、見ず知らずの日本人を招いてくれたのだ。奥様とその両親、お嬢さんと息子さん、それに叔母さん。ガイドブックに出ているポルトガル語で何とか会話を試みる。
 伝統的なクリスマス料理の鳥のスープは濃厚で、少しお米が入っているようだった。
そしてメインの七面鳥のローストのなんと美味しいことか。パサパサしたターキーとはまったくものが違った。お腹がはちきれそうなくらいいただいた。
 さらに、宿に帰っても食べ物にありつけそうにない私達のために、タッパにお土産まで詰めてくれた。

 島に降り立った時には、冷たい雨にすべての店が閉まっていて、本当なら寂しく、暗いクリスマスを過ごすことになっていたはず。たった一人の優しい人間と雨のおかげで、最高にあったかい忘れられないクリスマスになった。
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by mobiliantichi | 2008-12-24 23:37 | 海外旅行  

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