Bokuのグルメマップ 第2回 : attenzione!
これは今までの同僚への緊急速報である。
あのキラクが乗っ取り?!
東京滞在最終日、記念のランチは人形町のキラクにしようと思い立ち、前日にグーグルで検索した。すると驚くべき悲しいコメントがあった。従業員が全員替って、サラリーマンコックが、似て非なるポークソテーを作っている、というのである。しかし、他のコメントに、元従業員は近くで洋食屋を開店した、とある。
それが「そときち」。なんとHPもブログもあった。そしてそこには、あのおばさんの笑顔があった。もちろん翌日は開店と同時に「そときち」に行った。そこにはあの積まれたお皿の向こうのおばあさんも、あの色の黒い外人さんもいた。「そときち」とは、あの伝説のビフカツ職人で、おばさんの父親だった外吉さんから取った名前だという。
相変わらずカウンターだけの細長い店だけど、向きが逆になったのと、少し広くなって待つ人が座れるベンチができていた。
もちろんニンニクを利かせたポークソテーを注文。職人が健在だったころから、ポークソテーは、おばさんの担当だった。
ポークソテーの付け合わせのマカロニサラダは変わらないが、豚汁が付くようになった。メニューも少し増えたようだ。昔と全く同じか?と聞かれたら、うーんと悩んでしまうかも知れない。でもでもこれは間違いなくあのキラクのポークソテーなのだ。
昔、仕事帰りにキラクに立ち寄ると、カウンターの中で、外吉さんは牛肉を保存庫から出したり、入れたり、絶えず触って何かを見極めていた。そしてあるテレビの取材によると、ビフカツを上げる時間はきっかり45秒(?)だったとか。もちろん油の温度も常にチェックしていた。
その隣では娘さんが、分厚いポークソテーをじっくり焼く。狭い店内には独特のリズムがあって、客にも心地よい一体感があった。
おいしい料理屋は、一代限りのものだと思っている。キラクのビフカツは外吉さんのもの。今はもう食べることは不可能なのだ。そして今度はそときちのポークソテーが始まる。
だから美味しいと言われているお店には、早く行っておかないと。特に料理人が高齢者の場合は、のんびりなんてしてられない。
次回の東京滞在では、究極のもやし炒めを食べに、数年ぶりに水道橋近辺を歩くか、店の外観からは想像ができない、絶品で高価な水餃子を食べに青山に行こうか悩みどころだ。
by mobiliantichi | 2008-12-02 19:58 | 食べ物