青の器 その2 : ペルシャの発掘品

 青、ガラス、土臭い、不細工、これだけ揃ってしまうと、どうしても諦められなかった。
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 かなり胡散臭いとは思っている。数年前にイタリアのArezzoの骨董市で、イラン人から買った。バブルのころに日本に住んでいた、という彼は、「この器は土の中から、発掘されたもの」と言った。だから土がついているでしょ、って。でもそんなに古い物の割には、値段はべらぼうではなかった。d0147727_10371778.jpg
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 裏を見ると、なんだか粘土のかすがくっついているし、模様は釉薬に溶け出してにじんでいる。
器の中には釉薬の溜まりがある。いかにもいかにも古そうで、発掘品そうである。そして店主は、日本語の話せる彫りの深いイラン人。どう考えても胡散臭い。

 バブルがはじけた直後、私は浅草の花川戸に住んで、東武線で柏の仕事場に通っていた。
その時、いつも同じ電車に乗っているイラン人がいた。足を引きずっていたそのイラン人は、なぜか目があうと会釈した。私の頭の中では彼の半生の物語が、勝手に作り上げられていた。
ある日から、その電車で彼を見なくなった。

 この器、なんでもいいんである。ただ好きだから。でも、まがい物だと判っても、私には教えないで下さい。やっぱり、知らない方が幸せなこともあるのです。

 あの浅草のイラン人は、違法テレカで小銭を稼いで家族の元に帰って、今は幸せに暮らしている。私はそう思っている。
  
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by mobiliantichi | 2008-08-02 11:23 | アンティーク  

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