Boku
ここは大切な宝物を飾る場所。
Boku は高校生の時に飼っていたパンダ犬。友人の家で生まれた。お母さんはスピッツの血の混じった雑種。お父さんは判らない。沢山の兄弟の中で、Bokuには最後まで引き取り手が現れなかった。
山の手の学校に通う私達にとって、東京の下町はなんでもありの恐ろしい場所。怖いお兄さんが子犬を引き取って焼き鳥にしてるらしい、という友人の話を聞いて、慌ててBokuを引き取ってきた。
Bokuは食い意地が張っていて、なんにでも吠え掛かる駄犬だった。
ある日、お手伝いさんが血相を変えて、母に報告。「Bokuちゃんが大変です!」
母が庭に出てみると、腰の立たなくなったBokuが哀れな声で泣いていた。 学校から帰った私と母はどうしたらいいのか、父に相談した。 自宅の隣で小児科医院を開業している父は、「すぐに治るよ」といいながらどうも目つきが怪しい。
実は、、、、。Bokuに一服盛ったのは父。遠吠えがうるさくて、ご近所迷惑になるので、小児用の抗てんかん薬を与えたらしい。ちょっと投与量を間違えた、父はそう言っていた。そして腰は抜けても、泣き声は衰えず、父の企みは失敗に終わった。
その晩も酔っ払いが歌いながら我が家の外を通りかかると、Bokuはその歌に答えた。
「Wawawawa~~~nn 」
怒った酔っ払いは何かを投げつけて、怒鳴って去っていった。
翌日、父の診療所の壁はへこんでいた。そしてBokuは元気に庭を駆け回って、芝生を掘り起こしていた。
いつかまた犬を飼いたい。名前はやっぱりBokuにしたい。
by mobiliantichi | 2008-07-27 16:45 | つぶやき