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 母屋の横の牛屋を壊した時に出てきた臼は、長い間外に放置され、ぼうふらの住処になっていた。今回、草刈に来てくれた友人の助けを借りて、重い臼を玄関の中に移動することができた。

 餅つきの思い出は多分小学校の4年生くらいの時。ヨモギの葉で草もちを作ったから、春休みだったのかも知れない。
 当時、母屋の台所は広い土間で、私はそこにある料理用のストーブと、黒い梁と天窓のある天井が大好きだった。(祖母は脚が悪かったため、土間への上がり降りの作業は辛く、何十年も前に台所は板の間のキッチンに変わった。)
 餅つきの日。土間にはもち米を蒸すために、釜から立ち上る湯気が充満していた。私はざるを持って、裏のたんぼの畦道にヨモギの葉っぱを摘みに行った。祖母は都会っこの私に、ヨモギの見分け方を教えてくれた。「裏に白い毛が生えていて、柔らかい葉っぱを選んでくるように。」
 なぜか実際にこの臼を使ってお餅をついている場面は、記憶から欠落している。
 食いしん坊の私の記憶の続きは、つきあがったばかりのお餅を丸めて、中にあんこを入れる作業だ。 もちろん途中でつまみ食いした草もちの美味しかったこと。

 天窓から入る光が、チンダル現象で一筋の光線になって土間に届く。その向こうでは薪を燃やす炎とお釜と蒸し器の間から漏れる湯気。
  写真が一枚も残っていない母屋の土間は、私の記憶の中ではとっておきの1枚で保存されている。
 
 今年の暮れは、この臼を使って、新しく作った土間で餅つきをしたい。有志歓迎。
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by mobiliantichi | 2008-06-15 10:47 | 古民家修復  

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