祖父の思い出

 子供のころは7月の中旬に夏休みが始まるとすぐに熊野に行き、いつも8月末までは滞在した。しかし、梅雨を熊野で過ごすのは今回が初めてだ。
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 今回の滞在で母屋の石垣の間から、地面に対して水平に伸びる花を見つけた。園芸初心者の私でも、これは自然に生えてきた物ではないとわかる。椿の木の後ろで隠れるように大きな株が育っていた。石垣の上にはこんなに沢山。
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 母に聞くと、これは祖父が植えたデンドロビウムだと言う。30年以上前に祖父が亡くなってから、放置されていたにもかかわらずここまで育ったようだ。
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 母屋の庭でも大きな株が満開だ。祖父が庭に降りてこの木に移植していた姿を、私は部屋から見ていたことを思い出した。
 私の記憶の中では祖父はいつも静止画だ。キセルをふかしながらテレビの高校野球中継を見る姿。お風呂上りにふんどしを肩に担ぐ後ろ姿。庭でミツバチの巣箱の世話をする姿。そしてこの木に株を植えつけている姿。
 数少ない祖父との思い出。その花が今も元気に咲き誇っていることに、熊野に戻る意味をみつけた気がした。
 
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by mobiliantichi | 2008-06-14 08:13 | 古民家修復  

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