超高級椅子

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 はじめて修復した椅子である。修復講座を一緒に受講した友人と実習教材を探して、師匠の友人のM氏のお店に行き購入した。M氏は私がこれを修復実習に選んだところ、その場で師匠に電話して何やらグヂャグヂャ言っていた。そこで気付けばよかった。
 修復はまず全てをバラバラにするところから始まる。接合部の近くをショックハンマーで叩くと、少しずつ抜けてくるはずがビクともしない。もしかして私は非力な乙女なのか?実はこの椅子は今まで何度か修復されて使い続けられていて、その修復のいずれかの時期に釘を使った簡易的は補修がされていたのだ。釘を抜いてから叩くと、面白いようにバラバラになった。

 
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 次の作業は接合部に残った膠を除去すること。師匠お勧めのスチーマーで融かしていたら、ボキッ!折れた。師匠の顔は心なしかにやついて嬉しそうだ。「やってしまいましたねえ」 実習は規定時間内に終了しないと追加料金が発生する。師匠の微笑みの理由はこれか。この椅子はマホガニー製だそうで継ぎ足した材にも貴重なマホガニーを使わせていただいた。ノミやカッターで削ったがこれがとっても硬い。やっぱり私は非力な乙女に違いない。


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 座面の布は破けていたため新しい布に張替えた。中には馬の毛が入っていたので洗って、干して綿を足して布を張る。この座面張りの作業も山ほどの釘を抜いて山ほどの釘を打ち込んだ。「下手に打つと座った時にお尻に釘が刺さりますよ」「えっ!!」さすがにこれは冗談だった。どうも師匠に遊ばれている。


 実習の最終日には中学生のお嬢さんを連れた友人が激励に駆けつけてくれたので、スリムなお嬢さんにこの椅子に初めて座ってもらった。大丈夫だ。そしてそのすぐ後、大きな師匠がどっかと腰を下ろした。その瞬間たぶん声に出して「あっ!」と叫んでしまったに違いない。師匠は笑って、全然問題ないと言うような顔をした。 
 結局、修復実習は計算出来ないほど時間超過をしたので、師匠のお店で家具を購入して追加料金を少しおまけしてもらった。
 そう修復作品第1号の椅子は、時間も体力もお金も注ぎ込んだ超バブリーな椅子なのだ。
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by mobiliantichi | 2008-02-27 22:05 | アンティーク  

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