翁の記憶

 この夏の一か月間は、東京から来ていた両親の運転手に徹していた。父の生家に行った帰り、狭い道を新宮の市内を見下ろす高台に向かう。従兄から聞いた美味しい蕎麦屋を目指して。(父はうどん派で蕎麦アレルギーかもしれないのだけれど、そこは蕎麦好き運転手の独断で)
d0147727_8173168.jpgd0147727_8183473.jpg
d0147727_8185218.jpg

 庭にバラの咲く、およそ蕎麦屋らしからぬ一軒家。「くまの庵」
 なんでもここは蕎麦好きには有名な、あの蕎麦職人のお弟子さんの一人がやっている店だという。暑さを吹き飛ばす辛味の効いたおろし蕎麦を食べる。d0147727_817332.jpg
d0147727_8191685.jpg
d0147727_8194375.jpg その職人はたぶん昔東京の湯島の辺りに翁という店を開いていたと記憶している。私がそこで太くて色の黒いいわゆる田舎そばを生まれて初めて食べたのは、25年前のこと。それまで蕎麦とうどんの味の差って、そんなに無いんじゃないかと思っていたので、そば粉の味の濃いその野性的な麺は衝撃だった。しばらくして、その店主が店を閉めて、山梨の山奥に移り住んだと聞き、店を探して尋ねて行ったこともある。
 今、その職人は広島に移り、沢山の弟子が全国に散らばり美味しい蕎麦屋を開いているという。でも今その一派の打つ蕎麦は完全に更科系。あの田舎蕎麦はない。私の記憶違いなのか、それとも何か理由があるのか、そんなことを職人に聞いてみたい。そんなことを考えながら、上品な細い蕎麦をいただいた。

[PR]

by mobiliantichi | 2010-08-22 08:50 | 熊野自慢  

<< 目の色が変わる場所 季節は確実に >>