熊野自慢 番外編 「高田 こだわり料理の店」
新宮から本宮大社に向かう途中、ちょっと横にそれると、高田という集落がある。
そこの一番奥に伯母が住んでいたので、子供の頃何回か遊びに行った。熊野や色川よりも寂しい場所だったと、記憶している。夜になると、真っ暗な田圃から、ウシガエルの大合唱が聞こえた。そしてそこでは、電話は棒をぐるぐる回して、交換手につないでもらっていた。(昭和40年代の話である)
そんな高田に、地元では有名な店がある。
なかなか雰囲気がある外観に小道具もおしゃれではないか。
湧水を引いた池には、蟹や鰻が飼育されている。
そしてこの店に来たら、これを食べないと。
さーて、この店は何料理屋?
店主が今、前の川で釣ってきたという鮎を見せてくれる。もちろんまずは塩焼きで。
昨日釣ったという小振りの鮎は、から揚げでいただく。えっ、これで一人前?
もちろん手打ち蕎麦も食べないと。お腹一杯。
和歌山市から来た常連らしき夫婦は、今日の釣果の鮎を、全部塩焼きにしてもらって、から揚げも一人前、蟹は生きたままお持ち帰り、そして鰻はかば焼きに。店主は「この鰻は太いから、食べきれないよ、5000円だぞ」、と何度も脅すのだが、常連夫婦は全くひるまず。「食べ切れなかったら、持って帰る。」と言い張っていた。タッチの差で、私の方が早く来店していて、本当に良かった。もし彼らに先を越されていたら、すべてを食べつくされていたはず。
満足満腹。
そして熊野に帰ってきたら、暑い中、亀さんが我が家の畑の草刈りとゴミ焼きをしてくれているではないか。そして亀さんは言った。「鮎いらんかい?小さいけど、釣ってきて冷凍にしたのを貰ったから。」私は即答で、「いただきます。」もちろんこの蕎麦屋に行ってきたことは、永遠の秘密である。
by mobiliantichi | 2009-09-02 20:32 | 熊野自慢